あるくうた、十七。
『草木塔』七百一句のうち、十七句に。
- 炎天をいただいて乞ひ歩く鉢の子
- 笠にとんぼをとまらせてあるく鉢の子
- 歩きつづける彼岸花咲きつづける鉢の子
- どうしようもないわたしが歩いてゐる鉢の子
- 雨ふるふるさとははだしであるく其中一人
- あるけば蕗のとう其中一人
- けふもいちにち風をあるいてきた行乞途上
- あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ行乞途上
- 風の枯木をひろうてはあるく山行水行
- あるけば草の実すわれば草の実旅から旅へ
- 乞ひあるく水音のどこまでも旅から旅へ
- なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく雑草風景
- ぬくうてあるけば椿ぽたぽた雑草風景
- あるけばかつこういそげばかつこう柿の葉
- 歩くほかない草の実つけてもどるほかない柿の葉
- 風の中おのれを責めつつ歩く孤寒
- 秋もをはりの蠅となりはひあるく鴉
山頭火は歩く俳人だった。「どうしようもないわたしが歩いてゐる」。行き先はなくて、歩くことのほうが目的だった。だから句も、歩数のように増えていく。