啼くうた、十二。 なく 『草木塔』七百一句のうち、十二句に。 虫は「鳴く」、鳥はしばしば「啼く」と書き分けた。「啼く」と書かれるとき、その鳥はどこか山頭火自身である。「鴉啼いてわたしも一人」。 鴉啼いてわたしも一人鉢の子 百舌鳥啼いて身の捨てどころなし鉢の子 はや芽吹く樹で啼いてゐる鉢の子 ふと子のことを百舌鳥が啼く山行水行 草山のしたしさは鶯も啼く旅から旅へ 悔いるこころに日が照り小鳥来て啼くか雑草風景 鴉啼いたとて誰も来てはくれない柿の葉 ひなたはたのしく啼く鳥も蹄かぬ鳥も孤寒 鶲また一羽となればしきり啼く孤寒 啼いて二三羽春の鴉で孤寒 一羽来て啼かない鳥である鴉 啼いて鴉の、飛んで鴉の、おちつくところがない鴉 よく使われることばの一覧へ
虫は「鳴く」、鳥はしばしば「啼く」と書き分けた。「啼く」と書かれるとき、その鳥はどこか山頭火自身である。「鴉啼いてわたしも一人」。