落葉のうた、十八。
おちば
『草木塔』七百一句のうち、十八句に。
- それでよろしい落葉を掃く鉢の子
- 落葉の、水仙の芽かよ其中一人
- 落葉ふる奥ふかく御仏を観る其中一人
- 落葉あたたかうして藪柑子其中一人
- 空のふかさは落葉しづんでゐる水山行水行
- 落葉を踏んで来て恋人に逢つたなどといふ山行水行
- よびかけられてふりかへつたが落葉林山行水行
- 何か足らないものがある落葉する山行水行
- 道がなくなり落葉しようとしてゐる旅から旅へ
- なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく雑草風景
- 落葉ふかく水汲めば水の澄みやう雑草風景
- 寝たり起きたり落葉する雑草風景
- 落葉ふんで豆腐やさんが来たので豆腐を雑草風景
- からまつ落葉まどろめばふるさとの夢柿の葉
- 落葉の濡れてかがやくを柿の落葉柿の葉
- 何を待つ日に日に落葉ふかうなる柿の葉
- 落葉ふみくるその足音は知つてゐる柿の葉
- 落葉してさらにしたしくおとなりの灯の柿の葉
落葉は掃くもの、踏むもの、そして人の訪れを知らせるもの。庵のひとり暮らしでは、落葉の音が耳のそばにある。「落葉ふみくるその足音は知つてゐる」。