花のうた、二十三。
はな
『草木塔』七百一句のうち、二十三句に。
- ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる鉢の子
- うつりきてお彼岸花の花ざかり其中一人
- 茶の花のちるばかりちらしておく其中一人
- いつしか明けてゐる茶の花其中一人
- 誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花其中一人
- ひつそりかんとしてぺんぺん草の花ざかり其中一人
- 花いばら、ここの土とならうよ行乞途上
- ここにふたたび花いばら散つてゐる行乞途上
- 散るは柿の葉咲くは茶の花ざかり山行水行
- 百合咲けばお地蔵さまにも百合の花山行水行
- みんなたつしやでかぼちやの花も旅から旅へ
- 山から白い花を机に雑草風景
- 花が葉になる東京よさようなら柿の葉
- やつと咲いて白い花だつた柿の葉
- ひつそりとして八ツ手花咲く銃後
- だまつてあそぶ鳥の一羽が花のなか孤寒
- 雨ふればふるほどに石蕗の花孤寒
- げんのしようこのおのれひそかな花と咲く孤寒
- かたすみの三ツ葉の花なり鴉
- むすめと母と蓮の花さげてくる鴉
- 雷とどろくやふくいくとして花のましろく鴉
- つゆけくも露草の花の鴉
- 山のしづけさは白い花鴉
花ざかりよりも、ひっそり咲く花に目がいく人だった。茶の花、枇杷の花、ぺんぺん草の花。「やつと咲いて白い花だつた」。