食べるうた、十五。
たべる
『草木塔』七百一句のうち、十五句に。
- 食べるだけはいただいた雨となり鉢の子
- しみじみ食べる飯ばかりの飯である鉢の子
- あれこれ食べるものはあつて風の一日其中一人
- ぬくい日の、まだ食べるものはある其中一人
- 音は朝から木の実をたべに来た鳥か其中一人
- けふは蕗をつみ蕗をたべ其中一人
- 松風すずしく人も食べ馬も食べ行乞途上
- 酒をたべてゐる山は枯れてゐる山行水行
- 食べる物はあつて酔ふ物もあつて雑草の雨山行水行
- たより持つてきて熟柿たべて行く山行水行
- 影もぼそぼそ夜ふけのわたしがたべてゐる柿の葉
- 雪ふる食べるものはあつて雪ふる柿の葉
- これが最後の日本の御飯を食べてゐる、汗銃後
- 朝焼夕焼食べるものがない孤寒
- 草をしいておべんたう分けて食べて右左旅心
いただいた米を炊き、蕗を摘んで食べる。食べることの句は、そのまま生きていることの記録である。「しみじみ食べる飯ばかりの飯である」。