ふるうた、二十。
『草木塔』七百一句のうち、二十句に。
- ほろほろ酔うて木の葉ふる鉢の子
- 見すぼらしい影とおもふに木の葉ふる鉢の子
- 雨ふるふるさとははだしであるく其中一人
- 朝焼雨ふる大根まかう其中一人
- 落葉ふる奥ふかく御仏を観る其中一人
- 其中雪ふる一人として火を焚く其中一人
- 雪ふる一人一人ゆく其中一人
- しんみり雪ふる小鳥の愛情山行水行
- 寝ざめ雪ふる、さびしがるではないが山行水行
- この道しかない春の雪ふる旅から旅へ
- ぶらりとさがつて雪ふる蓑虫雑草風景
- 死んでしまへば雑草雨ふる雑草風景
- 春の雪ふる女はまことうつくしい柿の葉
- 何事もない枯木雪ふる柿の葉
- 雪ふる食べるものはあつて雪ふる柿の葉
- 雪ふれば酒買へば酒もあがつた柿の葉
- 雪へ雪ふる戦ひはこれからだといふ銃後
- 雨ふればふるほどに石蕗の花孤寒
- わかれてからのまいにち雪ふる孤寒
- 燃ゆる火の、雨ふらしめと燃えさかる鴉
雨が降り、雪が降り、木の葉が降る。笠ひとつで降るものの下を歩きつづけた人だから、この言葉は空から句へまっすぐ落ちてくる。「雪ふる食べるものはあつて雪ふる」。